缶スプレーでラップペイント|鏡面仕上げまでの手順と失敗対策
缶スプレーだけでも、ラップペイントから鏡面仕上げまでできます。私が動画で行った基本の流れは、下地を整える → 艶あり黒 → シルバーでラップ模様 → キャンディーカラー → クリヤー → 磨きです。
ただし、仕上がりを左右するのはラップ模様よりも下地です。前に何が塗られているか分からない物へ重ねると、剥がれだけでなく塗膜が縮む「ちぢみ」が起きることがあります。この記事では、缶スプレーで進める手順と、実際に質問が多かった失敗ポイントをまとめます。
もくじ
缶スプレーで行うラップペイントの手順
基本の順番は次の通りです。
- 今ある塗膜と下地の状態を確認する
- 洗浄・脱脂をして足付けする
- 必要な場合だけプライマーやサフェーサーを使う
- 艶あり黒を塗る
- シルバーでラップ模様を付ける
- キャンディーカラーを重ねる
- クリヤーで保護する
- 硬化後に肌を整えて磨く
1.今ある塗膜と下地の状態を確認する
以前の塗装がしっかり密着していて、何の塗料か分かっているなら、その塗膜を生かせることもあります。反対に、前の持ち主が塗った物など、塗料の種類も塗り方も分からない場合は注意が必要です。
ムラ、垂れ、ひび、浮き、剥がれがある塗膜へ重ねても、その下から一緒に剥がれる可能性があります。また、旧塗膜と新しい塗料の相性や塗り重ねのタイミングによっては「ちぢみ」が出ます。ちぢむと表面だけを軽く削って直すのが難しく、塗膜を落としてやり直すこともあります。
古い塗膜へ実際に重ね、どんな反応が出るか確かめることも経験になります。ただし、失敗できない本番品なら、先に目立たない場所や練習用の物で試すか、弱い塗膜を落としてから始める方が確実です。
2.洗浄・脱脂をして足付けする
汚れと油分を落とし、これから塗る塗料が密着するよう表面を均一に足付けします。足付け不足だけでなく、削りカスや手の油が残っていても密着不良の原因になります。
細かな傷を付けることが目的なので、角や曲面を削り過ぎないようにします。下地が露出した場合は、素材に合う下処理が必要です。
3.プライマーやサフェーサーは必要な場合だけ
ミッチャクロンなどの密着剤は、素材や塗料の組み合わせに応じて使います。使えば悪い下地まで強くなるわけではないので、剥がれかけた旧塗膜の上へ吹く「保険」にはなりません。
サフェーサーも、新品で下地がきれいなら必ず必要というわけではありません。傷を整えたい、色をそろえたい、素材を覆いたいときに使います。サフェーサーを吹いた場合は、乾燥後に表面を整えてから黒へ進みます。
4.艶あり黒を塗る
ラップ模様の黒い部分になるベースです。ムラやザラつきを残さず、全体を黒でそろえます。次のシルバーへ進む前に、使用した缶スプレーの塗り重ね時間と乾燥状態を確認します。
通常の流れでは、黒の上を削ってからシルバーへ進む必要はありません。黒の後へ必ずクリヤーを挟む必要もありません。
5.シルバーでラップ模様を付ける
シルバーを吹き、乾き切る前に丸めたラップを当てて持ち上げ、模様を作ります。押し付ける量、ラップのしわ、塗料の量で柄が変わります。
- シルバーが多いと、明るく派手な模様になりやすい
- 黒を多く残すと、コントラストが強くなる
- 同じ場所を何度も触ると、模様がつぶれやすい
最初の練習は、黒とシルバーだけでも十分です。模様が気に入らなければ、本番より気軽にやり直せます。
6.キャンディーカラーを薄く重ねる
ラップ模様ができたら、透明感のあるキャンディーカラーを重ねます。キャンディーは塗り重ねるほど色が濃くなるため、一度に色を決めようとせず、全体を見ながら薄く回数を重ねます。
一部分だけ往復が多いと、その場所だけ濃く見えます。別の板やトレーで色の濃さを試しておくと判断しやすくなります。
動画で使用したキャンディーカラー
7.クリヤーで模様と艶を保護する
キャンディーカラーを十分乾燥させた後、相性の合うクリヤーで保護します。動画を撮った時点だけ艶が出ても、適当な1液スプレーだけでは同じ艶を長く維持しにくいです。
私は、艶と塗膜の強さを求める仕上げでは2液ウレタンクリヤーを使います。2液タイプは硬化剤を混ぜた後に使える時間が限られるため、塗る物と段取りをそろえてから缶を作動させます。
仕上げに使用した2液ウレタンクリヤー
8.硬化後に肌を整え、コンパウンドで磨く
鏡面仕上げにする場合は、クリヤーを十分硬化させてから、塗装肌や小さなごみを状態に合う耐水ペーパーで整えます。その後、粗目から細目へコンパウンドを変えて磨きます。
ここは塗膜の厚みと状態で使う番手が変わります。角や出っ張りはクリヤーを削り抜きやすいため、平面と同じ力で磨かないようにします。磨き方を詳しく見たい方は、クリヤー後の水研ぎと鏡面仕上げの実例も参考にしてください。
黒の後にクリヤーや足付けは必要?
通常のラップペイントなら、艶あり黒 → シルバーラップ → キャンディー → クリヤーと進めます。黒の後やキャンディーの前で毎回足付けする必要はありません。
以前、失敗した場所まで戻しやすくする目的で、黒の上へ2液クリヤーを入れる方法をコメントで説明したことがあります。ゲームでいう「セーブ地点」のような考え方です。ただし、工程、乾燥時間、材料費が増え、塗り重ねの相性も考える必要があります。最初から必須の工程ではありません。
まずは下地を整え、使う缶スプレーの組み合わせと塗り重ね時間をそろえて、基本の工程で進める方が分かりやすいです。
よくある失敗と見直す場所
| 症状 | 確認する場所 |
|---|---|
| 塗膜が縮む | 旧塗膜との相性、塗り重ね時間、一度の厚塗り |
| 塗装が剥がれる | 弱い旧塗膜、洗浄・脱脂、足付け、素材との相性 |
| ラップ模様がつぶれる | シルバーの量、ラップを当てるタイミング、触る回数 |
| キャンディーがムラになる | 吹く距離、重ね幅、移動速度、一部分だけの吹き過ぎ |
| 艶が続かない | クリヤーの種類、膜厚、硬化時間、磨くタイミング |
木目調などへ応用する場合
ラップで模様を付ける方法は、色の組み合わせを変えると木目調にも応用できます。木目に見せる色の重ね方は、缶スプレーで木目調にするラップペイントで別にまとめています。
画像をクリック/タップすると大きく表示できます。
本番前に確認したいこと
- 古い塗膜が浮いたり割れたりしていないか
- 使う缶スプレー同士の相性と塗り重ね時間
- キャンディーの色の濃さを試し吹きしたか
- クリヤーを吹く場所と防護、乾燥時間を確保できるか
帽体、内装、シールドなどは材質が異なり、塗料や溶剤で性能を損なう物があります。実際に使用するヘルメットへ塗る前に、その製品メーカーが示す塗装可否と注意事項を確認してください。穴や内装へ塗料・溶剤が入らないようにすることも重要です。分からない状態での施工はおすすめしません。
缶スプレーでもラップ模様は作れます。難しく考え過ぎるより、まず小さな練習用トレーで模様を作り、キャンディーが一回ごとにどれだけ濃くなるかを確かめるのが近道です。

