グラインダータトゥーは、金属の表面に研磨跡を重ねて模様を作り、その上からキャンディカラーを塗って奥行きを見せるカスタムペイントです。

この記事では、一般的な大型グラインダーではなく、ドリルと50mmの研磨ディスクを使った模様の入れ方を、下地作りからクリヤー・磨きまで順番に解説します。

安全上の注意
ドリルを使う作業では保護メガネ・防じんマスクを着用し、材料を確実に固定してください。回転工具へ手袋や布が巻き込まれる危険があるため、回転中は手袋を使用せず、袖口や長い髪も工具へ近づけないようにします。切削粉の清掃は工具を停止し、電源を切ってから行ってください。初めての場合は端材で練習してから本番に進みましょう。
▶ YouTube動画でグラインダータトゥーの動かし方を見る

削る向き・手首の動き・見る角度による光り方は動画で確認できます。

今回の動画で制作した完成作品

今回使うのはアルミ複合板です。完成写真はグラインダータトゥーだけの作例ではありません。研磨模様を入れたあと、キャンディカラー、文字マスキング、ウォータードロップ(水滴塗装)を追加して仕上げています。

グラインダータトゥー単体の模様は、後述する「#600で細いラインを重ねる」工程の写真で確認できます。動画では、一つの作品として追加技法まで含めた完成工程を紹介しています。

グラインダータトゥー完成品を上方向から見た状態
上方向から見た完成品
グラインダータトゥー完成品を下方向から見た状態
角度を変えるとゴースト状の水滴模様が見えます

必要な道具と材料

  • アルミ複合板または金属板
  • 回転数を調整できるドリル
  • 50mm研磨ディスク(#240・#600を使用)
  • 保護メガネ・防じんマスク(回転中は手袋を使用しない)
  • 固定用クランプ、集じん・清掃用品
  • 脱脂剤、マスキング材
  • キャンディカラー、シルバー、クリヤー
  • 耐水ペーパー、コンパウンド、研磨用バフ

今回使用したアルミ複合板と研磨ディスクはこちらです。


ポイント:研磨ディスクは材料や狙う模様によって当たり方が変わります。いきなり本番で使わず、端材で番手と回転数を確認してください。

グラインダータトゥーのやり方

1.表面の塗膜を落として金属面を出す

アルミ複合板の表面塗装を#240の研磨ディスクで落とし、金属面を均一に出します。板は動かないように固定し、ドリルを一か所へ長く当て続けないようにします。

ドリルに50mm研磨ディスクを取り付けてアルミ複合板を削る工程

塗膜が残ると模様やキャンディカラーの見え方が不均一になります。削り終えたら粉じんを取り除き、表面を確認します。

2.#240で大きな流れを作る

最初から細かい模様を詰め込まず、#240で全体の流れを作ります。ディスクを面で押し付けるのではなく、端を軽く当てて弧を描くように動かすと、重なりのある模様になります。

240番の研磨ディスクで大きな流れを作ったグラインダータトゥー下地
  • 一定方向だけでなく、左右から弧を重ねる
  • 強く押し付けず、研磨跡を見ながら少しずつ進める
  • 同じ場所を深く削りすぎない

3.#600で細いラインを重ねる

大きな流れができたら#600へ替え、細いラインを加えます。ディスクの端だけを軽く当て、#240の跡をすべて消さずに重ねるのが奥行きを出すコツです。

600番の研磨ディスクで細いラインを重ねたグラインダータトゥー模様

研磨跡の正解は一つではありません。端材で回転数・番手・当てる角度を変え、自分が好む反射を探してください。

240番と600番で模様を入れ終えたグラインダータトゥー下地
グラインダータトゥーの下地が完成した状態

4.削り粉を除去して脱脂する

模様が完成したら削り粉を十分に除去し、塗装前の脱脂を行います。粉や油分が残ると、塗料の密着不良やブツの原因になります。

キャンディカラーで模様を見せる

文字をマスキングする

今回は文字をマスキングし、その部分にはキャンディカラーが乗らないようにしました。文字や図柄を正確に切りたい場合はカッティングマシンを使うと作業しやすくなります。

グラインダータトゥー下地に文字マスキングを貼った状態

キャンディカラーを薄く重ねる

キャンディカラーは一度に濃くせず、薄く2~3回重ねて好みの濃さにします。塗り重ねる回数が増えるほど色が濃くなるため、毎回全体の色と研磨模様の見え方を確認します。

文字マスキングとキャンディカラーの塗装を終えた状態
キャンディカラーを重ね、角度による模様の見え方を確認

エアブラシの吹き方に迷う場合は、ファイヤーパターンの描き方とエアブラシの動かし方も参考になります。

使用色:動画ではハウスオブカラー KK09MN オーガニックグリーンを使用しました。以前掲載していた販売ページは終了していたため、商品カードは削除しています。キャンディカラーは使用する塗料の仕様と混合方法を確認してください。

ウォータードロップを加える場合

この作品では、グラインダータトゥーに水滴模様を重ねました。これは必須工程ではなく、研磨模様だけで仕上げたい場合は省略できます。

  1. 表面へ水滴を作る
  2. 水滴を動かさないよう、低めのエア圧と適切な距離でシルバーを吹く
  3. 水分が完全になくなるまで乾燥させる
  4. キャンディカラーを薄く重ねて色味を調整する
グラインダータトゥーの上にウォータードロップを加えて乾燥させた状態

水滴が動く場合はエア圧が高い、またはエアブラシが近すぎる可能性があります。完全に乾く前に次の塗装へ進まないでください。

クリヤー塗装と磨き

キャンディカラーと水滴模様が完成したらクリヤーを塗装し、使用する塗料の指定時間に従って十分に乾燥・硬化させます。文字マスキングの段差やゴミがある場合は、塗膜を削り抜かないよう注意しながら耐水ペーパーで平滑にします。

耐水ペーパーで段差とゴミを取り平滑にした状態
磨き前に段差とゴミを取り、表面を平滑にする
ドリル用バフとコンパウンドでグラインダータトゥー作品を磨く工程

その後、目消し用から仕上げ用へ順番にコンパウンドを替えて磨きます。ドリル用バフを使う場合も、同じ場所へ熱を持たせないよう低速から確認してください。





 

コンパウンド磨きを終えたグラインダータトゥー作品
コンパウンド磨きまで終えた完成状態

うまくいかないときの確認ポイント

模様が単調に見える

ディスクを同じ角度・同じ方向だけで動かしていないか確認します。#240で大きな流れ、#600で細いラインという役割を分けると奥行きが出やすくなります。

キャンディカラーがムラになる

一度に色を付けすぎず、薄い塗膜を均一に重ねます。各コートで距離と移動速度をそろえます。

水滴が流れる

エア圧を下げ、エアブラシを離して少量ずつ吹きます。水滴の大きさをそろえすぎないほうが自然に見えます。

磨きで艶が戻らない

前の番手の研磨傷が残っていないか確認します。耐水ペーパーとコンパウンドは、傷が消えたことを確認してから次の工程へ進みます。

まとめ

ドリルを使ったグラインダータトゥーは、#240で大きな流れを作り、#600で細いラインを重ねると模様に奥行きが出ます。完成度を左右するのは、削る強さよりも当てる角度・動かす方向・模様の重ね方です。

記事で工程を確認したあと、動画でドリルの動きと反射の変化を見ると理解しやすくなります。

カスタムペイントの別表現として、ラメ・フレーク塗装のドライ/ウェット比較もあわせてどうぞ。