自動車補修用の1液型塗料は、そのままでは粘度が高く、エアブラシでは安定して吹けません。私はロックペイントの「プロタッチ」を、対応するプロタッチシンナーでまず1:1に割り、小分け容器へ準備しています。

この1:1は、そのまま作品へ吹ける完成状態ではありません。保管中にもシンナーは少しずつ揮発するため、使うたびに塗料の出方を見て、その日に吹きたい線や面積に合わせて希釈を調整します。

先に結論

  • 保存用の下準備として、塗料とシンナーを1:1に割っておく
  • エアブラシで使うときは、そのまま決め打ちせず、保管期間・気温・吹きたい線や面積に合わせて毎回調整する
  • シンナーは塗料に合う同じ製品系統のものを使う
  • 最初から薄くしすぎず、試し吹きをしながら少量ずつシンナーを足す

この記事だけでも作業できるように、必要なもの、汚しにくい注ぎ方、希釈後の調整と保存まで順番にまとめます。

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溶剤塗料を扱う前に

十分に換気できる塗装環境で、使用する塗料・シンナーに適した防毒マスク、手袋、保護メガネを使います。火気・火花の出る機器は近づけず、製品の注意表示やSDSも確認してください。

エアブラシ用に希釈するもの

今回使うのは、1液型の自動車補修用塗料「プロタッチ」と、同じプロタッチ用のシンナーです。エアブラシ専用塗料ではありませんが、色を多く使う私には、必要な量を作れて使い回しやすいところが合っています。

プロタッチ塗料と小分けした塗料

私が使用しているプロタッチ塗料と小分け容器。画像はクリック・タップで拡大できます。

ロックペイント プロタッチ T.ブラック 220g

ロックペイント プロタッチ T.ブラック 220g

今回の希釈例に使っている1液型自動車補修用塗料です。色番号と容量を確認して選びます。

プロタッチシンナー 標準型 1L

プロタッチシンナー 標準型 1L

プロタッチに合わせる希釈用シンナーです。速乾・標準・遅乾などは作業時期や製品表示に合わせて選びます。

ハンディ・クラウン ヒンジキャップボトル 100cc

ハンディ・クラウン ヒンジキャップボトル 100cc

本体PE・フタPPの押し出しやすい小分けボトルです。メーカーも塗料の小分け用途として案内しています。使う塗料・シンナーとの相性と密閉状態は、最初に少量で確認します。

ほかに、0.1g単位ではかれるデジタルはかり、マスキングテープ、缶オープナー、混ぜ棒、ウエスがあると作業しやすくなります。はかりは汚れやすいので、先にマスキングテープなどで養生しておくと後が楽です。

なぜ自動車用塗料をエアブラシで使うのか

「エアブラシ専用」と書かれているから扱いやすく、自動車補修用塗料は上級者向け、という単純な違いではありません。少なくとも私の使い方では、エアブラシ専用という表示だけにこだわる必要はなく、吹く状態に合う濃さへ調整できるかのほうが重要です。

私は多くの色を使うため、必要な量を小分けして準備でき、色を作りやすい自動車補修用塗料を使っています。専用塗料との優劣ではなく、自分の制作環境に合う塗料を選びます。塗料そのものの選び方は、エアブラシ塗料の選び方で整理しています。

希釈して小分け容器へ移す手順

1.塗料をよく混ぜ、缶を開ける

塗料は顔料が沈んでいることがあるため、缶の中を十分に混ぜます。ふたを開けるときは、一か所だけを強くこじるのではなく、周囲を少しずつ持ち上げます。

缶オープナーで塗料缶を開ける様子
ペイント缶オープナー

ペイント缶オープナー

塗料缶のふたを傷めにくく、周囲を少しずつ開けるために使います。写真は私が実際に使っている缶オープナーです。

2.マスキングテープで注ぎ口を作る

塗料をそのまま注ぐと、缶のふちに残ってふたが閉まりにくくなります。そこで、ふちを拭いてからマスキングテープを貼り、V字になるように折って簡単な注ぎ口を作ります。

塗料缶のふちを拭く
① 缶のふちを拭く
塗料缶にマスキングテープを貼る
② テープを貼る
マスキングテープで注ぎ口を作る
③ 折って注ぎ口にする
3M マスキングテープ 243J Plus 50mm

3M マスキングテープ 243J Plus 50mm

塗料缶のふちを広く覆い、注ぎ口を作りやすい50mm幅です。必要な幅や本数を確認して選びます。

このひと手間で、缶のふちに塗料が残りにくくなります。ふたをきちんと閉めやすくなり、次に使うときも扱いやすいです。

3.保存用の初期割合として1:1にする

小分け容器をはかりに載せてゼロ表示にし、塗料を入れます。次に同じ重量を目安にプロタッチシンナーを加えます。たとえば塗料を20g入れたなら、最初はシンナーも20gを目安にします。

ここでの1:1は、プロタッチをエアブラシ用として小分け保存しておくための初期割合です。この段階では、毎回の吹き付けに合わせた最終調整まではしません。まず扱いやすい基準の濃さを作り、実際に使うときに仕上げます。

小分け容器へ塗料を入れる

最初からシンナーを多く入れすぎると元には戻しにくいため、迷ったら少し濃い側から始めます。ふたをしっかり閉め、押さえながらよく混ぜます。

4.使うたび、吹きたいものに合わせて希釈する

1:1で準備した塗料を、そのまま毎回同じ濃さで使うわけではありません。細い線を描くのか、広い面へ吹くのか、どの距離と空気圧で吹くのかによって、使いやすい希釈は変わります。

さらに、容器へ準備してから時間がたつとシンナーが揮発し、同じボトルでも前回より濃くなります。使う直前に紙などへ試し吹きをし、いま行う吹き付けに合わせてシンナーを数滴ずつ足します。1:1は初期割合、その先はエアブラシの使い方に合わせて臨機応変に調整するという考え方です。

  • 出方が重い・粒が粗い:粘度が高い可能性。よく混ぜたうえで少量ずつ希釈する
  • クモの巣状に広がる・流れる:薄めすぎだけでなく、近すぎる、塗料量が多い、空気圧が高い場合もある
  • 出方が安定しない:希釈だけでなく、空気圧、ノズルの汚れ、塗料の沈殿も確認する

空気圧は止めた状態の数字ではなく、実際に吹きながら確認します。詳しくはエアブラシの空気圧を合わせる方法を参考にしてください。

シンナーは塗料に合うものを選ぶ

同じメーカーでも、塗料の製品系統が違えば使うシンナーも違います。私は以前、プロタッチ用とよく似たパナロック用シンナーを間違えて購入し、塗料が溶けにくいと感じてから気づきました。

名前や見た目だけで判断せず、今回のプロタッチにはプロタッチシンナーというように、塗料とシンナーの組み合わせを合わせます。別製品へ置き換える場合も、販売店や製品表示で適合を確認してください。

希釈した塗料の保存と使い直し

小分け容器には、色名・塗料名・希釈した日を書いておきます。ふたを確実に閉め、直射日光や高温、火気を避けて保管します。

密閉していても、時間がたつとシンナーが揮発して塗料が濃く感じることがあります。次に使うときはよく混ぜ、必ず試し吹きをして、必要ならシンナーを少しずつ足します。「前回1:1だったから今回もそのまま」と決めず、出方を見て合わせるのが大切です。

よくある質問

1:1にしておけば、そのまま吹けますか?

そのまま決め打ちにはしません。この記事の1:1は、プロタッチを小分け保存しておく初期割合です。使うときは、保管期間、気温、ノズル口径、空気圧、いま吹きたい線や面積に合わせて調整します。

エアブラシのカップ内で希釈してもいいですか?

少量ならできます。ただ、毎回同じ色を使うなら、小分け容器で基準の濃さを作っておくほうが早く、カップ内での微調整だけで済みます。

塗料が出ないときは、さらに薄めればいいですか?

希釈不足だけが原因とは限りません。ノズルやニードル周辺に塗料が固着していることもあります。薄め続ける前に、エアブラシのメンテナンス方法も確認してください。

まとめ

  • プロタッチは、対応するプロタッチシンナーで希釈する
  • プロタッチは保存用の初期割合として塗料:シンナー=1:1に準備する
  • 使用時は、保管期間とその日に吹きたい線・面積に合わせて希釈を仕上げる
  • マスキングテープの注ぎ口を作ると、缶のふちを汚しにくい
  • 試し吹きをし、出方を見ながら少量ずつ調整する
  • 保存後は粘度が変わるため、使うたびに混ぜて再確認する

希釈が合っているかを確かめるには、いきなり作品へ吹くより、エアブラシ練習用紙で線やボカシを試すほうが安全です。塗料・空気圧・手の動きを分けて確認すると、自分の使いやすい濃さがつかみやすくなります。